一般社団法人日本障がい者スイミング協会

Menu

障がい者水泳教室の選び方

一般論ですが、水泳教室では体験レッスンをしている場所が多いので
場所や雰囲気、先生のご指導内容などを一度体験されることをお勧めいたします。
体験レッスンの様子で泳力等のレベルが判定され、ご入会後に該当するクラスで授業を受ける流れになります。

一口に「(障害者)水泳教室」と言いましても、目標としているところや
支援指導内容は様々です。

スイミングスクールで開講されている教室もあれば、
自主クラブでプールを借りて練習している教室もあります。

現在の日本の傾向として、競泳志向の教室が多く、福祉的なケアや(運動)療育から支援指導をしている教室は少ない傾向にあります。
ここで言う「競泳志向」とは、いわゆる競技会の出場や表彰台に上がることを目指すものや、
泳法指導を中心としたものになります。
競泳経験者やスイミングスクールにある教室の場合、泳法指導が中心となっている傾向があるので、運動療育は別で通っていてスイミングは泳法指導でやっていきたいという方には一つの案かと思います。
福祉系や障害者スポーツ系の資格を持っているスタッフがいる場合は、その専門スタッフに相談できる支店もあります。障害者水泳クラスの開講をオープンにしているスクールと、受付で聞いて分かるスクールとあるようですので、スクールの場合は一度お問い合わせすると良いかもしれません。

自主クラブ等で障害者水泳をしている教室は、理解のある先生や保護者の会等が立ち上げていることが多い傾向があります。
日本の傾向として、知的発達障害系のクラブが多い傾向ですが、肢体不自由児者の介助ができるスタッフがいるクラブもあります。
水泳と福祉的なケアの両方が分かるスタッフがいることも多く、スイミングとケアの両方の相談ができる傾向があります。
例えば、小学生の自閉症児で、体のコントロールの仕方や日常生活の療育も相談をしたいという
希望がある場合は、福祉的なケアを相談できる教室の方が安心だと思います。


レッスン形態について

水泳教室はレッスン形態も様々です。
集団レッスン、親子レッスン、個別・個人レッスンなどのレッスンの人数や形態も
実際に通われる方の特性や目標を踏まえて検討されると良いかと思います。

このレッスン形態のメリット・デメリット、コミュニティのメリット・デメリット等の様々な切り口で検討されると思います。

スイミングスクールでは集団レッスンを取っていることが多くあります。
一律にそのスクールの指導案があり、その指導案がお子様やお子様の発育等に特に支障がなければ、定期的にその指導を受けることができるメリットがあります。スクールやクラスによりますが、人数が多い場合は待ち時間が長くて泳ぐ時間が減少するなどが生じるケースもあります。

コミュニティの面では、そのクラスのコミュニティの雰囲気やお友達が通っているなどで安心であれば、一つの案かと思います。
一方で進級テスト等のクラス分けがあるスクールでは、クラス分け毎にクラスのコミュニティが変化します。
その環境変化が苦手に感じられる場合は、少人数や個別レッスンの形態で学ぶ方が合っていることもあります。

例えば、発達障害の児童の場合、将来的に集団の中で学びたいけれど、
今現在として人数が多いと気が散りやすい特性が強くある場合は、
まずは少人数や個人レッスン形態の方が学びやすいと思います。


場所について

練習場所のプールを考える時、家から通う距離をイメージする方が多いと思います。
実際、習い事をする時に距離(送迎時間)を検討することは、優先順位が高い項目です。

障害児者の方がスポーツの練習をする時、2つのバリアフリーをまず検討することをお勧めします。
1つ目は建物のバリアフリー、2つ目は人的環境のバリアフリーです。

建物のバリアフリーは、身体障害の人だけの課題ではありません。
知的発達障害の特性で、施設の構造が壁になることもあります。
例えば、水深はイメージしやすいと思います。
水深は各プールで異なり、練習をするのに適度な深さかどうかは重要です。

また、プールに入るまでの導線もポイントになります。
玄関、下駄箱、更衣室・多機能更衣室、自動シャワー、プールサイド、プールに入るまでの階段のつくり…
このようにエリアが分かれており、その場所の人混み具合や照明の明るさ(暗さ)、音の反響なども
実際に通う曜日・時間でまずは見学してみると良いでしょう。

プール内の備品も、療育を進める上でも泳法指導をする上でもどちらでも大切です。
ビート板の大きさが子供の大きさに合っているか、
浮力の異なる浮き具が数種類揃っているか、
水慣れで使用できる道具があるか、
障害者水泳で必要な備品の配慮があるか、
…等のポイントで事前に知っておくと安心です。

特に、2つ目の人的なバリアフリーという視点にもつながりますが、
介助ができるスタッフがいる
障害理解をしてくれるスタッフがいる
という点は合理的配慮にもつながります。

合理的配慮がなければ、障害者水泳に必要な道具や練習の工夫がされないことに繋がります。

建造物のバリアフリーを超えられるのは、利用者の方のケアや観察手法、地道な対話などによって生まれる人の理解によるものが大きいものです。

長く通うことを考えたとき、通える範囲に理解あるスタッフがどれだけいるか、は「学び」に直結する重要なものです。

代表の酒井はある講演会の中で例えた話しで、「ある程度大きくなってから『数学』をやり直すことはできても、『あの頃に戻って体育をやり直すことは難しい』です。大人と子供では体は大きく変わっており、成長している時期に発育に合わせて療育をすることはとても大切です」とお話ししています。

「場所」を考える上での課題はバリアフリー問題だけではありませんが、参考になりましたら幸いです。


皆様の周りで気になるお教室がありましたら、そのような視点で面談等でお話を伺ったり、見学に行かれることをお勧めいたします。