一般社団法人日本障がい者スイミング協会

Menu

個別支援について

当協会では、福祉でよく使われる「個別支援」という形態をとても大切に考えております。

「個別」と「個人」の違い、

「指導」と「支援」の違いについて福祉的観点の良い面と全身運動である水中運動とかけ算をすることで、より一層一人一人に寄り添った心身の発育や毎日の生活が軸となり余暇や生涯スポーツ、趣味、自己実現にいたるまで、人生をより彩豊かにしてくれます。

「個別」とは、社会全体の中のお一人お一人を、一律に扱うという意味ではなく、個々の障害や想いに寄り添い、個別性に合わせて向き合い、合理的配慮を持つことを意味しております。「1対1」という意味合いも含まれますが、必ずしも、「1対1」での関わりという意味ではありません。

例えば、個別指導塾では先生1人に子供2人のような体制をとっています。

子供にとり相手がいることで切磋琢磨したり、お互いに目標に向かって頑張ろうとする自主性を引き出したり、お互いに高め合うといった協調性を自然と養っていけるメリットがあります。

これは相手がいない1人だけの空間では起きないことであり、特に人とのかかわりが少なかったり苦手だったりする子供やそのような障害を抱える人にとり、少ない人数で信頼関係を築いていく経験が、やがて大人になった時に生き、地域での関わり合いが増え、不安なく、信頼する勇気と信頼される喜びが、その後の充実した日常生活を送る基礎的な力となります。

ここで三角の人間関係を様々に築いていく(=気づいていく)ことで、将来住み慣れた地域で安心して、周りの支援と程よい距離間を取りながら自立生活していけるのです。

三角の人間関係

ができあがると、次の「少人数」「集団」「グループ」と言った段階へ無理なくコマを進めることができます。水泳の個別支援をきっかけに、本当にチャレンジしたかった卓球やバレエ、サッカーなどに転向した子供たちも大勢います。

施設ではなく訪問型の福祉相談員の経験から、障害の種類や程度を問わず、主に成人の障害のある方を微力ながら支援させていただいたことで、今の子供たちにとって必要な力の一つとしてとても大切に考え、大人から逆算して日々の支援をしています。

「支援」とは、

エンパワメントと言われるように、個人の力を引き出し、背中を押すという意味があり、福祉的な面を色濃く出しますと、見守りや社会のルールを伝えるといった目に見えづらい支援もあれば、身体介助のような目で見て分かりやすい支援があります。

水中運動は、

障害の種類や程度に関わらず、また性別や年齢も関係なく誰でも参加できる運動であり、身体の発育を促すだけではなく、その人の持っている得意なことややりたいことをかけ合わせることで、水泳やアクアビクスやアーティスティックスイミングや水中ウォーキングといった幅広い運動やスポーツに発展し、更に生涯スポーツとしても楽しむことが叶います。

身体を動かすことで、体の過敏さや筋肉の緊張バランスを整えることができ、発育を促すことが、そのままいわゆる水泳の泳ぎ方を身につけることにつながることも多くあります。

一方で、水に溺れないための技術

を身につけることも必須であり、ここをおろそかにすると「泳げるのにおぼれてしまう」ということになりかねません。

私たちは、ただ泳ぎを教えるだけではなく、この「安全」のための水泳や水の取り扱い方を子供たちに体験してもらうことも、将来ヘルパーさんや社会資源を活用しながらプール活動を続けていく力として最も大切にしています。

時に社会のルールを伝えたり、目に見えない「空気を読む」「雰囲気を察する」といったことを伝える「支援」の中には「指導」も重なる部分もありますが、「指導」で終わらせず、あくまでも「支援」が中心となっていることで、個人の力を引き出したり伸ばしたりすることができ、物事を考える力や解決していく力を身につけていったり、自主性を重んじるところがいわゆる一般的な水泳指導との違いです。