一般社団法人日本障がい者スイミング協会

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スイミングコーチに必要な3大スキル(ADHD編)





ADHD(注意欠陥・多動性障害)を持つ子供がスイミングに通う際、スイミングコーチには特定のスキルとアプローチが求められます。

今回は、ADHDやその傾向の子供たちに対応するために、スイミングコーチが持つべきスキルのうち大切なポイントを3つ取り上げてみたいと思います。

  1. 注意を引きつける能力:
    • ADHDの子供たちは、集中力(注意・注視など)を維持するのが一般の子供よりも難しいことがあります。
    • スイミングコーチは注意を引きつけるためにクリエイティブで楽しい指導法を用い、子供たちが興味を持ちやすいアクティビティやゲームを組み込むことが重要です。視覚的な手がかりや明確な指示を使って、子供たちが集中しやすい環境を作り出すことが必要です。
  2. 柔軟で構造的なアプローチ:
    • ADHDの子供たちは予測可能で構造的(スケジュールが組まれているなど)な環境の方が落ち着いて過ごすことができます。同時に柔軟性も求められます。
    • スイミングコーチは、明確なルール(目で見て分かるような配慮など)やルーティン(リラクゼーション→水中療育あそび→水泳の練習、などの一連の流れ)を提供しつつ、子供たちの興味や能力に合わせて柔軟に対応する必要があります。
    • 予測可能なスケジュールと同時に、新しい挑戦やアクティビティを組み込み、興味を引き続ける工夫(子供が飽きない)が必要です。
    • 子供の興味はかなり移ろいやすいため、子供が「これやりたい!」といったときに、支援者は子供の気持ちまで自分の気持ちが達していない場合が多く、支援者がやっと「これやりたいんだね」と言った瞬間には子供は次の興味へ移っていて元々の課題のモチベーションはすでに下がっている、、、というのはよくあることです。
    • 支援者が一瞬で子供と同じレベルにまで「これやりたいんだね!」と気持ちが寄り添えるような練習も必要かもしれませんね。
  3. ポジティブな強化とフィードバック:
    • ADHDの子供たちに対してポジティブな視点や工夫、具体的なフィードバックは非常に効果的です。特に視覚的な伝え方になっていれば、より子供にストンと落ちます。
    • スイミングコーチは子供たちの小さな成功や良い行動に対して積極的に褒め、仮に予想通りにいかなかったとしても子供自身を認め、そのポジティブな経験を通じて子供たちの自己肯定感や自己存在感を促進することが求められます。
    • また、具体的な目標や進捗を子供たちと共有し、向上を実感できるようにサポートすることが重要です。

これらのスキルを持つスイミングコーチは、ADHDの子供たちにとって安全で、楽しい、かつ効果的なスイミング体験を提供できます。スイミングと同時に、療育も叶えることができるので、「水泳が上手になっておしまい」ではなく、日常生活支援の中でも生きていきます。

私たちの生徒さんの中でも、個別支援の水泳活動を通じて、発語が促進したり、待つことを覚えてくれたり、人と会話をすることへの恐怖心がなくなった子供たちが大勢います。

注意を引きつける能力、柔軟性、ポジティブな視点は、子供たちがスイミングを通じて自分の力を発見し、成長するのを支援するために欠かせない一生もののスキルとなるのです。